[พ]映画「REC3/genesis」の豹変ぶりに笑いが止まらない/これはないわー @kun_maa
「REC」と言えば、スペイン発のPOV(Point of view)=主観視点のゾンビ映画としてその名を馳せた素晴らしい作品だ。初めて観たときは冗談抜きで怖かった。
「REC」及びその続編となる「REC 2」の作品としての魅力を挙げると次の4点に絞られると思う。
- 最初から最後まで徹底したPOV方式により、ビデオカメラを通して見せられる限定的な場面と情報しか与えられないため、登場人物が感じているのと同様に何が起こっているのかわからない恐怖
- 登場人物が撮影しているビデオカメラの視点なので、手ぶれや逃げるときの緊迫感、臨場感がハンパなく、自分がその場にいるかのような恐怖
- 封鎖されたアパートの中というとても限定された空間設定による逃げ場のない恐怖
- 暗闇を上手く使うことによる見えない恐怖
「REC」及び「REC 2」は、自信を持ってお勧めできる怖くて素晴らしいゾンビ映画だ。
そんなRECシリーズの第3作を観た。
前2作が同じアパートを舞台とする連続したストーリーだったのに対して、本作はおそらく前2作と同じ日時の別の場所という設定。
結婚式とその披露宴が舞台だ。幸せそうなカップルとその様子を撮影する従兄弟やプロ級のカメラマン。そう、この作品でもPOVは健在だった。この時はね。
すごく幸せそうな場面から、いつ恐怖の瞬間が訪れるのかとドキドキしながら観ていたら、前振りで犬に噛まれたと言っていた新郎の叔父さんの様子がおかしい。
突如、階段から転落して人々を襲い始める。
ここからは、もうぐちゃぐちゃ。どこからきたのかわからないけど、突如乱入してきたゾンビたちも加わり、阿鼻叫喚の地獄絵図。
そして、あろうことか本作はこの段階でPOVを放棄する。だってカメラが新郎の怒りの一撃で破壊されちゃうんだもん。
この時点でRECの魅力として挙げた1と2の項目は儚く消えた。
もう普通の映画です。
そして、主人公たちは披露宴会場から早々に外に逃げ出し、ゾンビたちも外をうろついている。こうして、封鎖された空間という逃げ場のない恐怖という魅力の3も消え失せた。
そして、POVを捨て去ったことにより、当然暗闇を上手く使った恐怖もなくなった。
どこまで自分の魅力を捨て去る気なのか・・・
その分、前2作とは違ってゾンビたちの様子は克明に描かれていたけど、これじゃ普通のB級ゾンビ映画だよね。
というわけで、「REC 3」のあまりの豹変ぶりに呆れて笑いが止まらなかった。
その姿は、前2作で築き上げた素晴らしいものを全てかなぐり捨てて、B級ゾンビ映画へとダイブするかのようだ。
なぜここまでやっちまったのか、理由はさっぱりわからないけどPOVを止めた時点で、すでに「REC」じゃないし。タイトルに偽りありだよね。だって誰も録画してない。
挙げ句の果ては、花嫁チェーンソーwww
完全にB級路線をまっしぐらに突っ走っている。
この作品、RECシリーズだと思うから呆れるやら腹が立つやらだけど、色眼鏡なしで観たらそれなりにおもしろいゾンビ映画ではある。
前2作のシリアスさや恐怖感は皆無だけど、ゾンビたちは飛び跳ねて生き生きしているし、コメディ要素は盛り込んでいるし。どこから見ても恥ずかしくない正真正銘のB級ゾンビ映画だ。
ただ、これをRECシリーズとして製作した意味がわからない。それが一番の謎。
ラストシーンだけはおなじみのRECだったけどね。
僕が観たいのは、こんな劣化したRECじゃないんだよ。
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