[พ]低予算だけど静かにおもしろいゾンビ映画「ビフォア・ドーン」/世界の終わりはこんな感じで始まるにちがいない @kun_maa
正直、お金かかってないなあって思います。
でも、ゾンビ映画ってお金をかけずに撮れるところが魅力のひとつな訳で、お金をかけないなりに頑張っている映画はやっぱりそれなりにおもしろいものです。
キャッチコピーが「死の淵を彷徨う、夫婦愛」ってwww
失業中の夫アレックスと、キャリアウーマンとして一家の大黒柱となっている妻のメグ。
子供が2人いながらも、夫婦関係は冷えきっているようです。不仲の理由はアレックスの失業のみならず、どうやら浮気も関係しているみたいで人ごとではありません。っていうか、なんか夫婦関係の冷えきり具合がうちと同じような感じで親近感わいたわ。
でも、アレックスは偉いよね。そんな夫婦関係の修復を願って、子供たちを義母に預けて夫婦水入らずで田舎の別荘地へ旅行に行くんだから。まあ、行った先が昔浮気相手の女と一緒に行った場所ってのが大マヌケなところだけど。
関係を修復しようと一生懸命なアレックスに対して、表面は普通を装っていてもあくまでも冷たいメグ。まったく関係修復する気はないようです。
当然寝室も別だし、朝はひとりで早起きしてジョギングに行ってしまいます。
このあたりの描写がけっこう丁寧なんで、とにかくゾンビ早よ!って人は「おいおい!いつになったらゾンビが出てくるのよ」って文句のひとつも言いたくなると思います。
僕は、登場人物を丁寧に描いている映画が好きなので楽しめましたけどね。
さあ、いよいよお待ちかねのゾンビ登場です。
実は、この旅行に出発する前に子供を義母に預けている時、ゾンビの唸り声のようなものは聞こえていたんです。まあ、軽い伏線ですね。伏線の回収もちゃんと行われています。
でも姿を現すのはメグがジョギングに出かけた先。
いきなり唸り声をあげて血だらけの男がメグの正面から疾走してきます。わけもわからず慌てて逃げ出すメグ。そりゃ逃げますわな。
しかし、前半の険悪だけどのんびりとした雰囲気からは、まさか疾走系のゾンビが登場するとは思いませんでした。脚が速い速い!
メグがどうやってこの疾走系ゾンビを振り切ったのかは描かれていませんが(明らかに手抜きでしょ)、脚を噛まれたのは明らかにわかります。
錯乱状態で帰宅してきたメグと、わけがわからないながらも必死で彼女を助けようとするアレックス。アレックスの健気さとメグの身勝手さに腹が立つやら悔しいやら。
これだから女はまったく・・・失礼しました。つい自分に置き換えて感情移入してしまいました。失言をお許しくださいませ。
わがままなメグの看病中にブレーカーが落ちて停電したので、アレックスが修理に行くとそこには別のゾンビが・・・疾走系のゾンビは動きが速いからねえ。
そして、ゾンビに噛まれたメグも当然時間が経てばゾンビになりますよ。
このへんの特殊メイクはなかなかいい感じです。低予算をあまり感じさせません。
あんなに愛しているだの、お前がいないとダメだの言っていたアレックスですが、襲いかかってくるメグに対してはかなり容赦ない攻撃を加えます。愛より自分が大事よね。
でも、散々ぶちのめして地下室に叩き込んだメグに対して、やはり見捨てることができないアレックス。メグをもう一度正気に戻すために、人として越えてはいけない一線を越えます。愛は盲目ってやつですか。ちょっと違いますか。
最後は哀しい結末が待っていますが、ある意味で夫婦仲はよくなったのではないかと思わせるシーンもあります。
ゾンビのパンデミックと世界の終わりなんて、一般人の目線から見たらこんなふうにして始まるんだろうなあってこの作品を観ていて思いました。テーマはそこじゃなくて夫婦愛だろ!って監督にしかられそうですが。
ゾンビのメイクや、ほんの少しの残酷シーンはちゃんと作っているし、登場人物を極端に絞り込むことである程度人間を描くことにも成功しているんじゃないでしょうか。
ストーリーも最後まで飽きさせず悪くないと思います。低予算なりに真面目に作りこんでいるのが観ている方に伝わる作品だと思います。
思っていたよりいい映画でした。まあ、あくまでも思っていたよりですけどね。ははは。
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