[พ]映画「ロンドンゾンビ紀行」/老人と青年の世代を超えた固い絆でゾンビをブッ飛ばせ! @kun_maa
ロンドンの工事現場で偶然発見された遺跡の中にいたゾンビに作業員が喰われてゾンビが一気に蔓延。この遺跡は何?とか、ちょっと広まるスピードが速すぎないかい?って思うけどそこはあまり深く考えない。
だって大事なのは理由なんかどうでもいいからゾンビが存在すること、そしてストーリー展開のテンポの良さとぶっ飛んでる老人と心優しき若者たちなのだから。
主人公の青年2人は定職も無く、育ての親である祖父が入所している老人ホームに毎日給食を届けているちょっとマヌケだけど心優しき兄弟。
兄弟はこの老人ホームが再開発の影響で閉所することになってしまって困っている祖父を助けるために、仲間を集めて銀行強盗を計画する。そう、銀行強盗で得た金で老人ホームを買い取ろうというわけ。動機と行動が単純すぎる。
もちろんマヌケな2人と仲間たちが考えた計画なんて上手くいくはずもなく、ドタバタの末に銀行を警察に包囲されてしまう。人質をとって逃げ出そうとするも、いいタイミングで発生したゾンビのおかげで警官隊全滅。今度はゾンビたちから逃げ出すはめに。
ここまでとてもテンポよく、おもしろおかしく進むストーリー展開はとても素晴らしい。
ダメなゾンビ映画に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらい。
逃げ込んだ倉庫内での、もはや何のために連れ出したのか意味がわからない人質や押し寄せるゾンビとの掛け合いがまた最高におもしろい。
だからといってコメディ一辺倒ではない。
普通に登場人物は死んでいくし、ゾンビのお食事シーンもしっかりと存在する。
こんな状況でも、老人ホームの祖父たちを心配して駆けつけようとする主人公たちの優しさには泣ける。
イカれた仲間が大量に銃を隠し持っていたことから武器にも弾薬にも事欠かない。
やっぱり、ゾンビ映画には激しい銃撃が似合うよね。
そして完全にゾンビの街と化したロンドンの下町を、ロンドン名物二階建てバスで老人ホームへ救出に向かう若者たち。おお!まさにロンドンゾンビ紀行だ。
一方の老人ホームでは、武器もなにもない老人たちとなぜか老人ホームに押し寄せるゾンビたちの攻防が楽しめる。
この作品のゾンビは決して走ったりしない昔ながらのウスノロ系。だから歩行器をつけて歩く老人にすら追いつけないww
すっとぼけた老人ホームの住人たちと、1人気炎を吐く青年たちの祖父が力を合わせてなんとかゾンビの侵入を防ぐ様子は、ストーリー展開のテンポのよさとは対照的になぜかのどかさすら感じるのんびりとしたものだ。
まあ、かなりの人間がここでもあっさり死んでいくんだけどね。
ゾンビがウスノロ系で力も弱いために、不意打ちさえ喰らわなければ老人相手でちょうどいいっていうところが上手いよなあ。普通のゾンビ映画じゃ老人の存在なんてゾンビの餌にしかならないもの。
そして、青年たちが大量の武器とともに老人ホームに救助にきたところから、老人パワーが炸裂する。最初は銃を暴発させて笑いを取る場面もあるけど、銃を手に取り生き生きとゾンビ相手にぶっ放す老人たちの大活躍はホントおもしろい。
かなりぶっ飛んでいる老人たちの活躍に拍手を贈りたくなる。
老人ホームを放棄して、押し寄せるゾンビたちから逃げ出す老人たちと青年たち。
彼らのゾンビの殺しっぷりには拍手喝采で爽快感さえ感じる。
知り合いだったゾンビを殺すことにすらなんの葛藤もためらいもないもんなあ。
その後の逃亡劇も希望のあるラストへの展開も、暗さや悲惨さのかけらも感じさせない。老人たちと青年たちの固い絆や、ロンドンの下町下層階級の人々の力強さと老人パワーを見せつけられるやっぱりちょっと変わったゾンビ映画だ。
基本的にコメディータッチなんだけど、人もゾンビもたくさん無惨に死んでいくし、残酷なシーンも存在するというのに観終わったあとにまったくイヤな感じが残らないこの爽快感はなんだろう?
笑いながら安心して楽しめるすばらしい娯楽作品に仕上がっている上質のゾンビ映画だ。
同じくロンドンを舞台にした有名なゾンビコメディ「ショーン・オブ・ザ・デッド」に負けるとも劣らない秀作だと僕は思う。
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