[พ]映画「正体不明 THEM(ゼム)」/わからないものに襲われるのは怖すぎるけど正体を知って戦慄する @kun_maa
2006年フランス・ルーマニア合作の作品です。
よく「幽霊よりも怖いのは人間」なんて言われたりしますけど、何が怖いってなんだかわからないものに襲われるほど怖いものはないのではないでしょうか。
まあ、大抵の場合、作品中で襲われる方は何が何だかわからないうちに殺されるってのが、ホラー映画の定番ですけどね。
でも、この作品は見ている方も終盤まで何が主人公たちを襲っているのかがわからないという怖さを体験できます。
舞台は2002年のルーマニア。
冒頭では車で帰宅途中の親子が何かわからないものに襲われます。そう、襲ってきた相手の姿はまったく映りません。このシーンだけでも久しぶりに怖かったです。
しかも、実話に基づいているって(;゚Д゚)エエー
冒頭の事件の翌日という設定で本編が始まります。
主人公のクレモンティーヌはルーマニアのフランス人学校に勤務する教師。夫で作家のリュカと郊外の一軒家で幸せそうに暮らしています。
でも、クレモンティーヌの帰宅途中の道路で、昨夜襲われた親子の車がレッカー移動させられているのをさりげなく映し込んでいるんですよね。まあ、次のターゲットはこの夫婦だなと容易にわかります。そして、それは2日後でも3日後でもなくその日の夜。
このスピード感はいいですね。必要最低限の人物描写だけで、だらだらとしない分、恐怖の連続性が効果的な気がします。
それにしても、なんでこの手の作品の主人公たちは変な物音を確かめずにいられないのでしょうか。僕なら絶対に聞こえなかったと思い込むようにして、布団をかぶって眠っちゃうけど。それじゃストーリーが進まないって?そりゃそうですね。
だから、この作品でもリュカは確かめに行っちゃう。でもね、それは緊張感があってドキドキはするけど、まだ襲われるわけではないんですよね。恐怖は何者かに車を盗まれて警察に電話をしたあとにやってきます。
突然の停電と姿の見えない何者かによる襲撃。電話もなぜか通じません。車を盗まれた時点で、これはイカれたサイコ野郎が犯人か?って思ったのですがなんか違うんですよね。
徹底して姿を映さないし、単体なのか複数なのかもよく分からない。神出鬼没って感じで「やっぱり人間じゃないかも...」って思わされるんですよ。このあたりの演出は上手いなあって思いますね。主人公たちに感情移入しちゃって怖いこと山の如しです((((;゚Д゚)))))))
正体のわからないものから襲われてリュカは脚に大怪我をするし、クレモンティーヌは奴らのひとりと思しきモノを2階から突き落とすも、なぜかものすごい勢いで2階に登ってくるという不気味さ。ついに2人は家を放棄して森の中に逃げ込むんだけど、これってどうなんだろうって思っちゃいますよね。正体がわからない以上、家の中で部屋に閉じこもっていた方が安全なような気が...まあ、何をしても無駄だったのかもしれないけどさ。
76分という短さなので、まるでジェットコースターのように緊張感を維持したままラストまで一気に突入します。これは、怖くておもしろいです。
タイトルがイマイチだったので(そう思いませんか?)、あまり期待していませんでしたが、なかなかの作品でした。
ホラーといっても、なんだかわからない相手の謎解きも含んでいるどちらかというとサスペンス寄りの作品なので、血しぶきぶしゃーなスプラッタシーンはありません。そういうのが苦手な人でも安心して観ることができますよ。
主人公たちにどれだけ感情移入できるかで、そのおもしろさもかなり感じ方が違うんじゃないかなあって思った作品でした。
そして、忘れてはいけないのが実話を基にした作品だということ。そのことが、襲撃してきたモノがなんだったのかが分かった時の戦慄を増幅させてくれることでしょう。
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