[พ]映画「バタリアン」(THE RETURN OF THE LIVING DEAD)はやっぱり凄いゾンビ映画だと思う @kun_maa
「バタリアン」、ゾンビ映画に興味がない人でも一度くらいは名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。
いっとき、一世を風靡した(大げさか)強烈なおばさんたちを指す「オバタリアン」の語源ともなった作品です。
1985年の作品で、ゾンビ映画としては名作のひとつです。
なぜそんな古い作品をあらためて観たかというと「走るゾンビ問題」の確認のためです。
「走るゾンビ問題」と僕が勝手にそう呼んでいるだけなのですが、ジョージ・A・ロメロの「Night of the Living Dead」に始まるゾンビ映画の歴史上、ゾンビはいつから走るようになったのかって話です。
昔はゾンビってのは動きがトロイのがスタンダードでした。今は走るゾンビの方が主流ですけどね。
僕は「走るゾンビ」を初めて採用したのは、ずっと「28日後・・・」という2002年のイギリス映画だと思っていました。それだけ衝撃的な作品でした。
でも先日、映画関係の本を立ち読みしていたときに、走るゾンビは「28日後・・・」で有名になったけど、元祖はバタリアンだという記述を見つけました。
僕は「え?バタリアンってすごい昔に観たけど、走るゾンビなんて出てたかな?」って思ったんです。
これはもう一度よく観て確認しなければ!ってことで超久しぶりに観ることにしました。
実際に観てみると、あらすじは覚えていたものの、やはり細部はすっかり忘れていました。僕の中ではこの作品、ゾンビのコメディ映画であって正統派じゃないって印象があったのですが、なんてひどい思い違いをしていたのでしょう。
僕が思っていたよりもずっと凄い作品でした。今まで勘違いをしていてごめんなさい。
この作品のどこが凄いのか。
- ジョージ・A・ロメロの「Night of the Living Dead」は実話だったという作品設定
- 脳みそを破壊しても死なない常識破りのゾンビ
- ゾンビがホントに走っている(やはり走るゾンビの元祖だった)
- ゾンビが人間と会話をする
- ゾンビが獲物をおびき寄せるために無線機を使う(他にも道具を使うゾンビ有り)
- ゾンビ化する薬品「トライオキシン245」を浴びると、意識があるままに人間がゾンビ化する(動物や虫もゾンビになる)
- ゾンビに噛まれてもゾンビにはならない(あくまでも薬品が原因)
- ゾンビが食べたいのは人間の脳みそだけ(他の部位に興味はない)
- 自殺するゾンビの存在
- 本来無個性であるゾンビなのにとても個性的なゾンビが存在感を出している
これらの凄い点は、この作品が1985年に製作されたことを考えると、すごい前衛的なゾンビ映画だったといっても過言ではない。
たぶん、前衛的すぎてこの作品のようなゾンビは一般化しなかったんだろうなあ。
だから、バタリアンは自分の作品世界の中だけで進化していったのでしょう(全部は観ていないけど、確か第5作まで製作されたはず)。
そういえば個性的なゾンビには名前がついていましたね。
こいつはタールマン
こいつはオバンバ。
ツルハシで脳みそを貫いても、銃で撃ち抜いても死なないゾンビってあらためて衝撃的でした。
「トライオキシン245」を浴びてしまったために、意識がありながら生命反応がなくなってゾンビ化するフランクとフレディの設定も、昔はコメディにしか思えませんでしたが、あらためて観ると哀しい。
よく見るとゾンビの作りも丁寧だし、お食事シーンもあるし、DQNも登場するし、軍の処理の仕方に象徴されるような人間の身勝手さも丸出しというように、ゾンビ映画としての要素もしっかりと押さえながら、前衛的な設定をふんだんに取り入れている凄い名作だったんだなあって感心しました。
ゾンビ映画好きな人は既に観ているとは思うけど、もう一度観てみると新たな発見があってきっと楽しめると思うし、まだ観ていない人にはホントおすすめ。
スプラッタシーンは多くないので、血みどろ、血しぶき系が苦手な人でも大丈夫。
僕はあらためてバタリアンシリーズを全作品観たいと思いました、ホントやられたわ。
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