[พ]タイ映画「เฉิ่ม...(チュム)」/孤独なタクシー運転手と風俗嬢の哀しき恋愛映画 @kun_maa
バンコクのマッサージパーラー(ソープランドですね)で働くヌアンと、孤独でさえないタクシー運転手ソムバットの切なく哀しい恋愛映画です。
ソムバット役は、タイ映画のヒット作「マッハ」の脇役でも有名なペットタイ・ウォンカムラム。彼の出演している作品にハズレなしです。
妻の浮気相手を殺したことで前科持ちのソムバットは、毎日同じ食堂で同じ食事をひとり寂しく食べ、場末のダンスホールで他人のダンスを見ながらジュースを飲むことと、古い歌のラジオ番組を聴く事だけが唯一の楽しみという単調で孤独な生活を送っています。
ある日、マッサージパーラーで働くヌアンが客としてソムバットのタクシーに乗ったことから、2人の物語は始まります。
実家に仕送りをするために、風俗嬢として働かなくてはならないヌアンは、不器用で朴訥なソムバットをなぜか気に入り、毎日仕事帰りの送迎の仕事を頼むようになります。
次第に惹かれ合う2人なのですが、このソムバットが不器用な上にとことん運が悪いんですよ。客が車内に落としていった覚せい剤のために警察に捕まったり、コツコツと貯めたお金でヌアンのために金儲けをしようとしてマルチ商法に騙されたり、挙げ句の果てはタクシー強盗に襲われたりと、本当に涙が出るくらいかわいそうなんです。
それでもデートらしきことを重ね、お互い好きなくせに言いだせなくて。この辺りの描写はとても切ないんだなあ。
ある日、風俗の仕事に疲れ果てたヌアンからキスを迫られたソムバットは緊張で身動きがとれなくなって固まってしまいます。それを自分の仕事に対する軽蔑とヌアンに勘違いされて2人の間はギクシャクとしていきます。ホントかわいそうな男です、ソムバット。
結局すれ違いが重なって、ヌアンは金持ちの馴染み客に身請けされ、その男の愛人になってしまいます。
ヌアンのことが忘れられないソムバットと、退屈な愛人生活に倦み、やはりソムバットのことが忘れられないヌアン。ストーリーはそんな2人をことごとくすれ違いさせます。
すれ違い恋愛映画の王道のような作品です。
そして運命の歯車は思いもよらない方向に進んでいきます。
ソムバットは乗客の変態ホモおやじから自分の身を守るために殺人を犯してしまうんです。どこまでかわいそうなの?
警察に追われるソムバットと彼の事が忘れられないヌアン。2人の恋はどうなってしまうのでしょう。
結末は、静かに、そしてドラマチックですよ。
気になる方はYouTubeでこの作品のダイジェスト版を観る事ができる(以前は作品丸ごとあったのですが著作権侵害の訴えで削除されていました)ので、実際にご覧になってみてください(ただし、タイ語のみです)。
笑いあり、涙ありで、タイの生活をかいま見る事もできるいい作品だと思います。
ストーリーは、かなり切なくて哀しいですけどね。
2005年公開のちょっと古い映画です。
ちなみに、タイトルとなっている「เฉิ่ม(チュム)」っていうのはタイ語で「ダサい」とか「古くさい」、「時代遅れ」って意味です。
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