[พ]映画「コリン LOVE OF THE DEAD」 /主人公がゾンビの切ない低予算ゾンビ作品 @kun_maa
こんにちは!ゾンビ映画は僕の友だち @kun_maa です。
2011年のイギリス映画です。スタッフやキャストをボランティアでまかなって、約5,800円という低予算で製作された作品。
ゾンビ映画=低予算という構造はありがちですが、この作品は低予算=クズ映画ではないところがすごいですね。
とは言っても、そりゃお金をかけて製作した作品に比べれば見劣りはします。
特に主人公がゾンビになってしまった青年「コリン」のため、派手なアクションやストーリーの盛り上がりには欠けます。
途中で暗闇のシーンがけっこう続くところがあるのですが、正直眠くなりました。
この作品の評価できる点は、視点の逆転にあると思います。
普通のゾンビ映画は、人間から見たゾンビの恐ろしさを描いています。
もちろん襲われるのは人間で、襲うのはゾンビです。人間側の登場人物についてはある程度その背景や人物像が描かれますが、ゾンビは無個性です。
そりゃそうです。死んでいるんだから。
でも、この作品の主人公はゾンビであることによって、ゾンビの視点から見た街の様子やゾンビの姿を描いています。
餌である人間を捕まえるのだって誰かと協力できるわけでもなく、たまたま他のゾンビに捕まった人間を少しだけ食べてみるとか、おこぼれにあずかろうとして他のゾンビに威嚇されたりとか。けっこう孤独なゾンビという存在。そして襲ってくるのは人間たちです。
そして無個性であるあるはずのゾンビという存在にもかかわらず、コリンは最後までコリンです。
多少の安っぽっさは否めませんが、ゾンビ映画に欠かせないお食事シーンもちゃんとあります。
荒廃し、ゾンビが溢れている街中を時に人間を食べたり、逆に人間に襲われたり、そこには何の意志もないはずなのに、なにかの記憶に引きずられるかのように徘徊するコリン。
街で人間に襲われているところを、偶然通りかかった実の姉に助けられ、その後もコリンの記憶を取り戻そうと必死になる姉。その姉すらゾンビにしてしまうコリン。
ゾンビになることで、家族との絆も断たれ、孤独に徘徊するコリンとそんなコリンを含むゾンビたちに襲いかかる恐怖に怯えた人間たち。
虐殺と呼ぶにふさわしいゾンビ狩りに垣間見える人間の狂気。
ボロボロになりながらも、コリンが行き着く先はどこなのか。
その謎が解けた時に、コリンがなぜゾンビになったのか、そしてコリンがどこに向かっていたのかが明らかになり、ちょっと切ない気持ちにさせられます。
そんなゾンビ映画です。
派手さもワクワクするようようなストーリー展開もないけど、新鮮な視点とどこまでも静かな世界観の作品です。
主人公がゾンビという作品、最近では「ウォーム・ボディーズ」というラブコメがヒットしているようですが、コリンはコメディ要素なし。いたってシンプルです。
たまには、こんなゾンビ映画もいいかもね。
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